物の華と書いて、物華〈ぶっか〉と申します。栃木県は栃木市、嘉右衛門町の代官屋敷の並び、築百余年の蔵とのご縁をいただき、この度ささやかな工藝と喫茶の場をひらくこととなりました。華という字には、〈本質〉や〈真髄〉という意味を含みます。時代の流れや環境の変化によって様々な物事が移ろう世の中ですが、変わることのない良さ(善さ)もあるだろうと信じております。その一端を、この場から少しでも感じていただければ幸いと存じます。
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10坪ほどの小さな場、4テーブル、16席のご用意がございます。改装時には予想していなかった高い天井、伝統的な真壁の造り、左官によって丁寧に仕上げられた土壁など、地域に居る職人さんによって作り上げられた空間が、元々趣があった場を、より味わい深く魅せてくれました。
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香り高く上質な珈琲や茶、手製の菓子のご用意もございます。閑かに落ち着いたひとときを、お過ごしいただけますように。また、日本の各地からつくり手をご紹介致します。器や布物、自然からの恵によって作られた品々など、日々に用いることで、あたたかく暮らしを支えてくれる物がございます。身の回りに物が溢れる現代だからこそ、大事に扱われ、繋がっていく物の在り方を大切に。好奇心を持って物に触れていただけるよう、伝え手として努めます。
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生活の中で活きる工藝や茶の空気を感じていただけること。何気ない一時にお会いできますことを、心よりお待ち申し上げております。
2021年3月31日
開店時のご挨拶として
物華 店主 拝